14投稿目 作戦は綿密に

クリスマス間近の街中で、いかにもなクリスマス柄の手荷物を携えている人々を見かけたり、
家族連れではしゃぐ子供達を見かけたりして、ふと思い出した、
「私がサンタクロースを信じなくなった瞬間」の話を書いてみたい。大した話ではない。

もう記憶も大分あやふやで、それでも5〜8歳頃のどこかだったと思う。
私は既に、サンタクロースの存在に対して半信半疑だった。
信じるに至らなかった理由は、クリスマスとの距離感、とでも言うべきだろうか。

保育園に来るサンタクロースは、同級生の父親の扮装だったし、
プレゼントと言えば、毎年、父の仕事のノルマっぽいサンリオキャラクターなんかのクリスマスデザイン缶に入った、お菓子とちょっとしたおもちゃのセットだった。

母親もデフォルトでは、私や兄がねだらなければ、クリスマスだからと言って特別なご馳走を作らない考えの人だったように思う。

幸い、親戚のおばちゃんがパン工場勤めで、これまたノルマか余り物なのかクリスマスケーキをくれたけれど。

以上のような要素は、サンタはいるかも知れないけれど、私ん家には来ない。
私の家ではクリスマスは平日、と子供の私が認識するには充分だった。

余談だが、兄は12月生まれなだけで、誕生日ケーキを先述のクリスマスケーキで有耶無耶にされていた節がある。いや、そもそも、私も誕生日にホールケーキ買ってもらった記憶はないが。。

さて、それでも、ある年、空気で膨らませる(浮き輪と同じ構造の)トナカイ人形に菓子箱か何かで工作したソリをくっつけて、その中にサンタさんへの手紙を書いたことがあった。
プレゼントにドールハウスが欲しいです。とか書いたんじゃなかろうか。

その年の12月24日の夜あたり、母親が今で言う"匂わせ"をする。
「そろそろ寝たほうがいいんじゃないか?」「サンタが来てくれるかも知れないんじゃないか?」
みたいな事を言われた気がする。記憶は曖昧だが。
正直驚いた。我が家にもサンタが来るのか?もとい、今までクリスマスに一度も自分が欲しいプレゼントが届く事はなかった。それが、今年は、、、届くのか!??と瞳をキラキラさせ、胸をときめかせた。

そして、え?何??何が起こるの!?プレゼントあるの??
と、期待のまま眠りについた私が、翌朝枕元で目の当たりにしたのは、、

ゴルフセットのおもちゃだった。

ホームセンターのおもちゃコーナーに並んでいるような、プラスチック製の小さなゴルフクラブ数本とボールのセットである。欲しいおもちゃに1mmも擦りもしていないのである。

言葉を失った。期待がガラガラと崩れ去った。逆に夢かと思った。
子供にはいかにショックだったか、想像して頂きたい。

全然喜びがない状態で起きて、茶の間に行くと、母が「どうだった?サンタクロース来た?」と言ったような事を、いわゆるドヤ顔で訊いて来た。

私は上がる筈のないテンション感で、「うん。来た。おもちゃあった。」くらいの答えをした気がする。悪いけど、喜ぶ演技も出来なかったと思う。
親は親で期待したリアクションじゃない我が子をどう思ったんだろうか。知らないし、今更訊かないが。

こうして、サンタはいるかも知れないけれど、私ん家には来ない。は、100%の確信に変わった。
ついでに、クリスマスプレゼントは金輪際ねだらない。も追加された。

こんな下手を打つ親御さんは、今日日なかなか居ないとは思うけれども
子供って、子供だましにされている所に関しては分かっているのではなかろうか、と思うのだ。


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